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【本社】〒875-0052
大分県臼杵市大字市浜997番地の1

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【養殖場】〒875-0001
大分県臼杵市佐志生字藤田日ノ浦

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社長メッセージ

海はいのちの源

-重宝水産の歩みと、かぼすブリとの出会い-

重宝水産株式会社

社長 佐々木 兼照

竹のイカダから始まった養殖

昭和40年頃までは、兄が巻き網漁業をやっていて、獲れたカタクチイワシでいりこ(煮干し)を作っていました。加工場を作って「だし」取り用に出荷していたのですが、ちょうどこの頃「味の素等」と言われるような化学調味料の登場で、いりこの値段は下がり続けていました。
それでもありがたいことにカタクチイワシを大量に買い上げてくださるお客さんがいました。不思議に思い「何に使うのだろう」と聞いてみたら養殖ハマチのエサにするそうだ。
それでハマチの養殖を始めてみることになりましたが、当初は4本の孟宗竹を井桁に組んでイカダを作り、その中に網を張って生け簀(いけす)にしていました。
高校を卒業する私に、兄が「巻き網漁を手伝え」と言いましたので、私は巻き網漁を手伝い、獲れた魚を大分の市場に運ぶ作業をしながら、養殖のえさやりもしていました。

昭和55年に、国と県、そして臼杵市と漁協が三つ子島近辺を漁場として開発し、多くの養殖業者が新しい漁場に集められました。私たちも参加し、これまでの漁場から船で生け簀を引っ張ってきて、現在の位置で養殖を始めました。それをきっかけに業務も養殖中心になっていきました。
当初はブリが1万匹、アジとタイの生け簀が一つずつくらいの規模だったと思います。
それから少しずつ規模を大きくしていき、昭和57年には建物や倉庫、作業場や冷蔵庫の設備を整えることができました。

臼杵の海は養殖に向いていない?

養殖を始めた頃は、臼杵の海は県南に比べて水温が低く、養殖には向いていないと言われていました。魚は小振りになりますし、当時は市場でも県南の大きなブリが好まれ、高い値段が付きましたから、県外へ大量に出荷する方法をとる水産会社が多かったと思います。
私はその頃から地元出荷にこだわって、鮮度を保つことが出来る適切な量を大分県内に出荷していました。
養殖ブリもだんだんと珍しいものではなくなり、お客様は大きさよりも質の良さで養殖ブリを求めるようになりました。臼杵の海で育った養殖ブリは飛び抜けて大きくはないものの、低い水温のおかげで肉質が良く、身が締まっていますので、だんだんと臼杵の養殖ブリも認められるようになっていきました。

波静かな臼杵の海

目指すのは「氷見の寒ブリ」

この頃、養殖技術の向上を目的とした品評会が大分県かん水養殖協会の主催で始まりました。第1回大会で、当社の養殖ブリが最もよい評価をいただきましたが、養殖のブリは脂が多く、口の中にしつこく残り、苦手にする人も多いのも確かでしたから、少しでもおいしいブリを養殖したいと思っていました。
ブリの養殖をするのであれば、天然ブリの王様といわれる富山県の「氷見の寒ブリ」を食べてみないと話にならないと思い、旬の時期に取り寄せたことがありました。
妻が立派な寒ブリをさばきながら「脂の乗りがすごい」と言っていたのを覚えています。
確かに、醤油につけると脂が浮くほどなのですが、食べてみるとサッパリしていて、とても驚きました。
自分が作る「養殖ブリ」もそうありたいと、ニンニクを与えるのが良いと聞けば試しましたし、よい活水装置があると聞けば導入したり、試行錯誤の年月でしたが、なかなか理想に近づけず「やっぱり養殖では限界があるのか」いう思いも頭をよぎりました。

おどろきの「かぼすブリ」

H22年に、かぼすの果汁やパウダーをブリに与えるとよい影響があったという研究結果が大分県水産養殖協議会から発表され、「どなたかフィールド試験の取り組みをお願いできないか」と県内の養殖業者に打診がありました。私は半信半疑でしたが、従業員たちに相談すると「おもしろいんじゃないか、社長やってみましょうよ」という声が上がりました。その一言がきっかけで私たち重宝水産は手を挙げることにしました。最終的には県内4社の養殖業者がこの時からかぼすブリの養殖を行っています。
かぼす入りのエサを、いつどの程度与えるかについては、海洋研究センターで実験した基本的なデータがありました。かぼすの皮から作られるパウダーであれば0.5%を25回給餌、果汁であれば1%を30回給餌します。出荷時期から逆算してエサを与え始めなくてはならないのですが、かぼすの効果が最大限に現れる頃に出荷できるように、タイミングを見極めるのがポイントです。

かぼすブリは「カボスに含まれるポリフェノールやビタミンCなどの抗酸化作用によって血合が変色しづらい」と言われます。もちろんそれも特長のひとつですが、私はそれ以上に脂がしつこくなく爽やかで、いくらでもおいしく食べられることに驚きました。
食べればすぐにかぼすブリか、そうでないかが分かるほどの効果が出たのは、長く養殖を続けてきた中でも初めてのことでした。

「かぼすブリ」を広めたい

もう60歳を過ぎていたので、正直なところ引退も意識していましたが、かぼすブリを食べたときの驚きは、私に新しい力をくれました。大分県と一緒になって東京、大阪、京都、名古屋など全国でPRを行いました。「養殖のブリは苦手」というお客様を引き留めて試食をお願いしたこともありました。「おいしい。このブリは違う」と笑顔で褒めてくださったときは、本当にうれしかったものです。

知り合いの料亭に、かぼすブリのコース料理を考えてほしいとお願いもしました。
血合いの鮮やかな色を活かしたカルパッチョ、大分県の郷土料理「りゅうきゅう*」、「きらすまめし*」、定番のブリ大根、ネギを巻いてタレ焼きした難波焼き、アラレ揚げのあんかけにブリしゃぶ。かぼすブリは皮が薄いこともあって、ブリしゃぶは旨みがぎゅっとつまった皮付きのままがおすすめです。それから最後は雑炊です。ブリなどの青魚は生臭いので雑炊には向きませんが、かぼすブリは雑炊もおいしいのです。
私も自宅で食べるときにはブリしゃぶにして次の日に雑炊にするのが好きです。地元の白だしでだし汁を作り、ポン酢で食べるかんたんレシピでも充分においしいですからぜひ試していただきたいですね。

* りゅうきゅう 刺身をごまや薬味と一緒にタレに漬け込んだもの
* きらすまめし 刺身をおからにまぶしたもの 地元の言葉で「きらす」はおから、「まめし」は「まぶす」こと

いのちをつなぐ

1964年に創業してから50年以上が経ちました。これまでには赤潮によって大きな被害にあったこともありました。途方に暮れていたところに大勢の養殖仲間たちが方々から集まってくれて後始末を手伝ってくれたときにはうれしくて涙がでました。
ずっと地元への出荷にこだわってきましたが、一番うれしいのは食べてくれた人の声が入ってくるところです。「重宝水産のかぼすブリはおいしい」「ヒラマサは重宝水産が一番」と良い評価をいただけることもあるし、質が良くなければ相応の反応があります。その声を励みにして、ここまでやってこられたと思います。
もっと多くの人にかぼすブリを食べていただき、普通の養殖ブリとは別の魚として「かぼすブリ」を認めていただけるように、これからも魚を作りたいと思っています。

一生懸命に魚を養殖してきてあらためて思うのは、「いのち」です。
命をいただき、命を育み、命を繋ぐ。命の源である海からの贈り物をお客様にお届けしている。そして魚を食べてくれる人があっての我々であるということ。こういう想いで養殖を続けてきました。
幸いなことに、うちには若くて積極的な従業員が多いですから、彼らには「ありがとういのちよ ありがとう海よ」という想いを大切に、かぼすブリをもっとおいしい魚に育て上げていってもらいたいですし、より多くの人たちに「おいしい」と食べてもらいたいと願っています。